
10-16-2013, 02:00 AM
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Jphlgvns
Reradrrd
しまったと正気に戻った寧温は逃げるように廊下を後にした。雅博は奇術でも見せられたように呆然とその場 に立ち竦《すく》んでいた。 真牛の処分が申し渡される。
「やけに冷静じゃないか」 明け方霧に包まれることの多い王宮は、秘かに性を超えるには都合がよい場所だ。御内原の後之御庭がたっぷ りの霧を抱え、黄金御殿に空いた暗シン御門だけがうっすらと闇を覗《のぞ》かせていた。
確か自分に代わって及川の行確を任せられた刑事だ。 「私は学問を修めたかったのです。知識の光で自分の人生を照らしてみたかった。自分の人生を自分の意志で歩 んでみたかった。ただそれだけなのでございます……」
「弁護士さんは絶対に勝てる勝負だって言ってたけど」 「嘘をつけ嘘を。さっき抱きあってただろうが。グラウンドの向こう側から見てたぞ。この好色野 郎が」
「米国の国内問題とは?」 「米国人を殺したのは事実です。隠蔽《いんぺい》すると王府の体質が疑われます」
「だって抗議行動はお金を引きだすためにやったことでしょう」 嗣勇も妹があごむしられ(側室)として御内原にいる姿に違和感を持っていた。妹が美しい貴婦人なのは自慢 だが、真鶴は表層的な美で収まる女ではない。真鶴の本質は黒髪を解いた奥にある。美しいだけの女は一時代に 何人も出現するが、真鶴の知性と教養と行政能力は五百年にひとりの傑出した才能だった。真鶴は寧温でいると きしかその価値を認めてもらえなかった。嗣勇はそのことが哀しくてならない。
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