
10-16-2013, 12:54 AM
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Sztra
Ylteblf
「まぐろの赤身が百グラム二百九十八円だって」 しばらく公園のベンチでたばこを吹かしていた。先立つものがないと遊びまで地味だ。
その尋常ではない顔つきに九野は凍りついた。経験からわかった。覚醒剤か。花村は覚醒剤をやっているのか 。 今夜のことは内密に、と言ってはおいたが、一般人には無理な相談だろう。もっとも、直属の上司である及川 に知れるのも悪い策ではなかった。外堀を埋めるように少し揺さぶってみるのもいい。
「じゃあ、どっちでもいいけど」 「九野さん、お子さんは?」
「身代わりだよ。誰がやったか知らねえけど、おれがやったことにするんだよ」 ——これは、東北鬼門譜のときとちがい、わたくしの仕事としては、一寸そういうことをゆるしていただける なら、道に入った、という思いがしました。この観音経のときから、わたくしの思いと、他力の助けてくれる思 いとの融合が成った、と思うのです。……
「で、どう返事したんですか」 「ふうん……」
「そう言うなよ。おれとおまえの仲じゃねえか」 嘘だろう——? 両手の感触。短刀の柄を握り締めている。
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