Zvrejmlj Nhtucljrt

[Inselslypesot]

「住民が逃げましたから、今頃はゲリラが来てるかも知れません」 「人の心は見えませんからね。あなたのアリバイが完全ならば、あなたは容疑者から外れるわけで す」
「それでは、あまり悲しいじゃないですか」 「………」
　彼は新潟へ向った。計画は万全だったはずである。地図を見て、どのあたりの山に行くかも考えていた。穴は できるだけ深く掘る。深く埋めれば死体は出て来ない。 「全く君は凄いことを考えるね！　実の娘を殺そうとしたというのかい？」
　ただでさえ、一旦帰宅していたところを内藤雄造に呼び出されて不機嫌な木戸署長は、苦虫をかみつぶしたよ うな顔で部下をにらみつけた。 　「おい、僕はもう戻って来たよ」
　　　　４ 　夕食はカニ、エビ、シャコ、刺身とみごとに魚一色で肉料理は一品もなかった。その朝、吉良港に水揚げされ た魚ばかりで、エビなどはオドリだった。これで一泊二食一万円というのだから安い。
　と受付の子は立ち上がって、「井上さんももう帰ってたんだわ。消すの忘《わす》れちゃった」 　空のグラスが床に転がっていた。