Thread: Yius Guoaup
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Old 10-16-2013, 02:21 AM
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 これでよかったのだろうか。自問してみた。失敗だったような気もする。けれど、じゃあほかにどんな方法が あるというのか。黙っていればどんどん噂は広がるのだ。 「母上様、伯父上の心を無にしてはいけない」
「歴代宝案のつづき? なぜおまえが歴代宝案を読んでいるんだ?」 「佐伯さん、清和会の大倉ってやくざ、知ってますか」
 ターミナル駅でやはり及川は外に出た。真っすぐは帰らない。今夜も映画館へ行き、盛り場をう ろつくのだ。  ドアが開き、男が二人入ってきた。前回と同じ顔ぶれだ。年配の方は確か戸田という総務部長だ。大きく張っ た顎のせいで一度で覚えた。
 目を閉じてみた。やはり夢だろうか。薬を飲んだのが署に戻ってからで……。  やがて目の前に大型のベンツが横づけされた。男が飛びあがるように荷台から降り、直立不動の 姿勢をとる。
 そして無情にも朝がやって来た。津波古は女将《おかみ》に頼んで最後の別れをさせてほしいと頼み込んだ。 真牛と初めて出逢った安謝湊《あじゃみなと》の浜辺で綺麗に身を浄めさせてやりたかった。  昨日、香織が学校から泣いて帰ってきた。香織は泣いた理由を絶対に言おうとしなかった。健太は公園で遊ば なくなった。テレビゲームは一日三十分という決めごとはうやむやになった。
 ペリー提督の嵐が江戸に吹き荒れている頃、王国に嬉しい報せが走った。真美那が王女を産んだのだ。目鼻立 ちは真美那にそっくりで、しかも女子王族に顕《あらわ》れる薄い色の虹彩を備えていた。誰もが次期聞得大君 だと確信する瑞相《ずいそう》に沸き返った。 「ふざけるな」九野が睨みつける。
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