
09-27-2013, 02:18 AM
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Ccodvn
Qpsxy
今まで|誰《だれ》かを苦しめていたのは、こんな怪物みたいな能力があったから仕方がなかったと思ってい た。しかし、|座標移動《ムーブポイント》の力なんて関係なかった。結標淡希は能力がなくても他人を傷つけ られると。結局悪いのは自分の能力ではなく、それを操っていた自分自身なのだと。 その首すじに、ぴたりと白刃が突きつけられていた。Dがいつ抜いたのか、見たものはいない。
豪雨に行きなやんだ旅行者が祭祀館を訪れても不思議はなかった。ただ、厄介者だ。 下方から跳ねたDの一刀は空を切った。
白井はキャリーケースに腰を下ろしたまま、ぼんやりと考えていたが、 |繊《せん》|細《さい》な神経をもつ魔道士に、ディーノは|一《いち》|瞥《べつ》を投げただけで何も 言わなかった。
いかに結標が|座標移動《ムーブポイント》の使い手とはいえ、その体は単なる女子高生のもの なのだから。 そして、右手を振って里人たちを遠ざけると、疲れたような声で意外なことを言った。
理由が認識できたことで、ようやく硬直状態にあったディーノの右腕に自由が戻った。 ヒユツ、と。
「背負って」 ちらりとルージェスをかいま見たシルヴィンの背筋に、冷たいものが|這《は》う。
どうすればこの場で最善の策を尽くせるか、と白井は考える。|闇雲《やみくも》に向かっても白井と結標で は能力差があるし、何より白井が不用意に動く事で戦況を下手に揺るがし、結果として美琴に傷を負わせるよう な事態だけは絶対に|避《さ》けたい。 七三〇 天平二 一〇月、旅人、大納言となり、一二月に帰京。
青い瞳をぱちぱちとゆっくり|瞬《まばた》きながら、|唖《あ》|然《ぜん》としてディーノはまろび寄っ てくるシルヴィンを見つめた。耳に届いた言葉はディーノにとってあまりにも新鮮だった。そんな表情を正面き って向ける者を、彼はこれまでただの一人も間近く見たことがなかった。 振り向いた途端、奴が立ちすくむのがわかった。
巨大な鳥篭は、それを囲む鉄枠も太く赤錆びていた。その中に、確かにメイとミスカの姿があっ た。 女として扱うべき存在ではないものなのだ。
レイラの|運転技術《ドライビング・テクニック》は、電子機器さえ凌ぐのだ。 言うが早いか、下に向かってディーノの飛竜が|焔《ほのお》を吐く。
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